今年も和歌山で開催された『おもしろ科学まつり 2024 』に行ってきました!
昨年に続き、和歌山大学キャンパスでの開催。
広々とした校内に足を踏み入れると、今年からキッチンカーも参加していてお祭り感が増していました!!
まずは和歌山大学教育学部主催のブースへ。
なにやら白い液体に子どもたちが手を突っ込んでいます。
白い液体の正体は"片栗粉を水で溶いたもの"。
ダイラタンシー現象を体感するためのワークショップでした。
ダイラタンシー現象とは、液体に粒子が混ざっているときに力を加えると体積が変化し、流体の挙動が変化する現象です。ゆっくり触わるとドロドロなのに、素早くたたくと固くなるという不思議な動きが特徴です。
こんなに大量の片栗粉で実験できるなんて、お家ではできない体験です。
みんな夢中になってその感触を楽しんでいました。これを企画した和歌山大学教育学部の学生さんは小学校の先生を目指しているとの事。子供たちがおっかなびっくり実験に取り組む様子を楽しそうに見つめていました。
校舎内に入るとなにやら落ち葉がたくさん展示されていました。
この落ち葉はすべて「翼のある種子」。
風で飛ぶ造りの種子がなんと9種類も用意されていて、標本にして持ち帰ることができるワークショップです。
先生は絵や写真だけで学ぶのではなく、本物を手にする体験を多くしてほしいと話してくださいました。
これは宝物になりそうです!
教室内から人が溢れているここは、和歌山の科学産業の発展を支えてきた三木理研工業株式会社のブース。
子どもたちの行列に、スタッフさんは大忙し、今年は石鹸作りのワークショップをされていました。
子どもたちは実験セットの前に座り、研究員さんに教えてもらいながら手順よく作業を進めます。ピンクの液体と透明の液体を混ぜると、、、固まった!
ガーゼでこして、好きな形に整えます。1日~3日乾燥させると固形石鹸の出来上がりです。
ふたつの液体の正体は?お家でも同じようにできるのかな?
保護者の方も研究員の方に興味深く質問をされていました。
次の教室を覗くと大きなプールが。 和歌山アドベンチャーワールドの一風変わったブースで、面白いお話しが聞けました。
このブースは和歌山アドベンチャーワールドのサークル活動のひとつで、海の生き物に触れられない人にロボットを通して動物に触れる喜びや癒しを体験してもらいたいという想いから、各地のイベントにお魚ロボットと触れ合えるプールを展示しているそうです。
驚くべきは、このロボットはなんとアドベンチャーワールドのスタッフさんの手作り。
ロボット作り未経験の飼育員の方が生き物の動きをどのようにすれば再現できるのか、どうすれば本物のように泳がせることができるのか。ウエットスーツなどの廃材も活用しながら試行錯誤の末に完成したそうです。
生き物の身体を知っている人だからこそ生み出せたロボット。好きという気持ちや知識が、やりたいことを実現させてくれる驚きの取り組みだと思いました。
近畿大学付属和歌山高等学校・中学校 科学部のブースでは広い教室で中学生から高校生のお兄さんが来場した小学生に何かを教えています。
覗いてみると、乾電池の上でハート型の銅線がくるくる回っている!なかなか回らず集中してチューニングしている子もいます。
銅線がうまく回ったところでお兄さんからフレミングの法則の説明が。
フレミングの...法則?
まだ小学校では習わない用語ですが、この経験はずっと残って、体験と学習が繋がる瞬間が必ず訪れるのだろうと思います。
先生に教えてもらうのではなく、年上のお兄さんが説明してくれると少し背伸びできたようなわくわくした気持ちになるのはなぜでしょう。これも科学まつりの大きな魅力の一つだと思います。
和歌山県立桐蔭高等学校・桐蔭中学校のブースでも生徒の皆さんが活躍されていました。
ロボカップ・ジュニア世界大会出場を目指すという生徒さんも、小学生の時にロボット教室の体験に参加したことがきっかけで今があると話してくれました。
桐蔭高校で20年、科学部の指導にあたっている藤木先生に小学生の時に出会い、桐蔭高校の科学部に入りたくて入学を目指したそう。今は高校二年生となり、リーダーシップを発揮して指導に当たっていました。将来は子どもたちを指導する仕事につきたいと話してくれました。
そして今年から新しくFFL(FIRST LEGO League Challenge)という大会に出場するチームも新設されていました。こちらでは指導者の大学生を招いて新チームにレクチャーが行われていました。
大学生は高校生に。高校生は中学生に。中学生は小学生に。
教えるという経験を積むことで自身も学びの経験を重ねていける、科学まつりはそんな場所でもあるようです。
【FIRST LEGO League Challengeとは】
FLL Challengeは9歳~16歳の青少年を対象とした世界最大規模の国際的なロボット競技会です。1998年に米国のNPO法人「FIRST」とレゴ社によってに設立され、日本では2004年から開催されています。現在、世界110カ国、約67,000チームが出場しており、毎年世界大会が世界数ヶ所で行われ各国の代表チームが参加しています。
NPO法人青少年科学技術振興会公式HPより引用
一日で回りきれないほどたくさんのブースの中で、最後はどうしても見たかった和歌山県商工労働部 企業政策部 成長産業推進課の「せっけん作り」ブースへ。
ワークショップでは「リサイクルせっけん」をすきな形に成形する工作が行われていました。
なぜ和歌山県が「リサイクルせっけん」のワークショップを?そんな疑問からお話を伺いました。
今、和歌山県では廃油の回収実証実験を行っています。これはこの先、SAF(Sustainable Aviation Fuel)という次世代の航空燃料を国内で作るために必要な取り組みであり、和歌山県内の製油所が閉鎖し、その跡地にSAF製造拠点ができる計画が進んでいます。
このワークショップではリサイクルせっけんを通して、使用済みてんぷら油を廃棄するのではなく、廃油が石鹸や飛行機の燃料になることを知ってほしい、一人一人の家庭がその活動を支えることができるんだというメッセージを発信されていました。
楽しい工作をきっかけに、社会課題について考えを深めることができる学び多いブースでした。
秋晴れの下、会場の和歌山大学は緑が多く家族が休日を楽しむのにぴったりの会場でした。
『おもしろ科学まつり』は理科の面白さに気付く科学実験や工作などを体験できる小学生に人気のイベントです。
取材を始めて3年目。毎年新しい発見やワークショップの内容に進化を感じます。
子どもたちにどうやって科学の面白さを伝えればいいのか、イベントに携わるみなさんが考えています。取材を通してお祭りの所々で出展者の方々の想いが見えました。
今年も大満足のおもしろ科学祭り。
来年も楽しみです!
取材へのご協力ありがとうございました。